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レッスン・指導

個人英会話教室のカリキュラム作り方完全ガイド【受講者が辞めない設計術】

2026-03-0514分で読める
カリキュラム英会話教室個人運営レッスン設計受講者満足度教材選び

個人英会話教室が大手チェーンと差別化できる最大の武器は、受講者一人ひとりに合わせた柔軟なカリキュラムを組める点にあります。しかし自由度が高い反面、設計者自身が体系を持っていないと、毎回のレッスンが場当たり的になり、受講者の成長実感が薄れて継続率が下がってしまいます。本記事では、第二言語習得(SLA)の研究知見と、個人教室の運用現実の両方を踏まえた実践的なカリキュラム設計手順を解説します。逆算設計・個別カスタマイズ・進捗可視化という3本柱を中心に、明日の初回カウンセリングから使える質問シートや管理フォーマットまで網羅します。

この記事でわかること
  • 個人教室が大手と差別化するためのカリキュラム設計思想
  • 6か月後のゴールから逆算してユニット・レッスンを割る手順
  • 初回ヒアリングで集めるべき12項目と学習者プロファイル作成法
  • 50分レッスンの時間配分テンプレートと10種のウォームアップ
  • ポートフォリオと月次面談で継続率を高める仕組み
個人英会話教室でカリキュラムを設計する講師
個人教室のカリキュラムは『柔軟性』と『体系性』の両立がカギ(出典: Pexels)

個人教室ほどカリキュラム設計が武器になる理由

大手英会話チェーンは標準カリキュラムを数百ページのマニュアルで提供し、誰が教えても同じ品質になる仕組みを作っています。個人教室が同じ土俵で戦っても勝ち目はありません。一方、個人教室は受講者10〜40名程度の規模が多く、一人ひとりの生活背景・学習目的・理解スピードを把握できるのが強みです。この情報量を活かしてオーダーメイド型のカリキュラムを設計できれば、大手にはない高い満足度を生み出せます。実際、顧客満足度の業界調査では、受講者20名以下の個人教室は大手チェーンを上回る満足度スコアを記録することも珍しくありません。

フランチャイズ教材との比較

フランチャイズ教材は汎用性を重視するため、レベル分けが初級・中級・上級の3段階程度と粗く、受講者の実ニーズと乖離しやすい傾向があります。たとえば『海外出張で空港の会話ができるようになりたい』という受講者に対し、フランチャイズ教材は『Unit 3: Travel』という一般的な旅行英語章を当てはめます。個人教室なら、実際の出張先(例:シンガポール・チャンギ空港)の英語放送音声を入手し、固有名詞まで含めてロールプレイできます。この『固有性の密度』が差別化の源泉になります。

第二言語習得理論を土台にする

カリキュラム設計は感覚ではなく理論に基づくと安定します。第二言語習得研究で繰り返し支持されている概念として、Krashenのインプット仮説(i+1 = 現在レベルより少しだけ難しい材料)、Swainのアウトプット仮説(産出が気づきを生む)、Longのインタラクション仮説(意味交渉が習得を促す)があります。これらを統合すると、1レッスン内で『少し難しいインプット→産出の強制→誤りの意味交渉』のサイクルを1〜2回回す構成が理想形になります。

理論なしで陥る典型的な失敗
  • 受講者が既に知っている表現ばかりを繰り返して成長が止まる
  • 難しすぎる題材で受講者が沈黙してしまう
  • 産出の機会がなく、レッスンが講師の独演会になる
  • 誤りを全スルーして定着しない、または全指摘して萎縮させる

逆算設計で6か月後のゴールから組み立てる

良いカリキュラムは『今日何をするか』ではなく『6か月後に何ができるか』から逆算して作ります。これはバックワードデザイン(Understanding by Design)の考え方で、終着点→評価方法→学習活動の順で設計すると、無駄のないレッスンを組めます。

CEFR×シーンのゴール設定マトリクス

ゴール設定はCEFR(A1〜C2の6段階)とシーン(旅行・仕事・育児・趣味など)を掛け合わせたマトリクスで作ります。たとえば『A2レベル×海外旅行』なら『空港・ホテル・レストランで定型表現を使って要件を伝えられる』が達成目標になります。『B1レベル×ビジネスメール』なら『クレーム対応メールを下書きし、講師添削で修正できる』が目標です。曖昧な『話せるようになる』ではなく、行動で観測できる動詞を使うのがコツです。

月次マイルストーンの切り方

6か月ゴールを1か月単位に分解します。月1は『基礎語彙100語習得+定型フレーズ20個暗記』、月2は『短文応答で自己紹介と仕事説明ができる』、月3は『想定シーンでロールプレイ成功率80%』、月4〜5で応用、月6で実践総仕上げ、という段階設計が標準的です。月次マイルストーンは受講者にも共有し、達成時に小さな認定証を渡すと継続モチベーションが上がります。

1レッスン=1スキルの週次設計法

週1回50分のレッスンでは、1コマで扱うスキルを1つに絞ると定着率が上がります。『今日はWh疑問文の聞き取り』『今日は過去形で先週の出来事を語る』のように、動詞1個分の粒度まで落とし込みます。複数スキルを詰め込むと受講者の記憶容量を超えて、結局どれも身につきません。Rod Ellisの研究では、1レッスン1ターゲット構造の方が、複数ターゲットより定着率が30%以上高いことが示されています。

カリキュラム設計図を広げる講師
6か月→月次→週次の3層で設計するとブレが生じにくい(出典: Pexels)

受講者ごとに曲げる個別カスタマイズ手順

個人教室の強みは、標準カリキュラムを受講者一人ひとりの事情に『曲げる』ことです。ここでは曲げ方の手順を3段階で紹介します。

初回ヒアリングシートの質問12項目

初回カウンセリングで集める情報は、目的・レベル・学習履歴・制約の4カテゴリに分けた12問が目安です。具体的には『英語を使いたい場面を3つ挙げてください』『過去に挫折した経験があれば、その原因は?』『1日のうち学習に使える最大時間は?』『苦手なスキル(聞く・話す・読む・書く)を1つ選ぶなら?』『好きな英語学習コンテンツ(映画・ドラマ・歌など)は?』などです。この情報が濃いほど、カリキュラムの精度が上がります。

ニーズ分析から重点スキルを決める

ESP(English for Specific Purposes)のニーズ分析フレームを使います。『現状の英語力』『目標時の英語力』『ギャップ』の3点を書き出し、ギャップを埋めるために必要なスキルを優先順に並べます。たとえば現状A1・目標B1・ギャップは『過去形と仮定法』『リスニング速度』『疑問文の即答』なら、この3つを月次目標の中心に据えます。全スキルを均等に伸ばそうとせず、ボトルネック3つに集中するのが正解です。

学習者プロファイル作成フォーマット

集めた情報をA4用紙1枚のプロファイルにまとめます。項目は『名前・年齢・職業/就学状況』『英語使用予定シーン』『現状レベル(CEFR)』『目標レベル+期限』『強み/弱み』『学習時間/頻度』『モチベーションの源泉』『配慮事項(発達特性・家庭事情など)』の8項目。毎レッスン前に1分眺めるだけで、その日の焦点が明確になります。

学習者プロファイル記入例
  • 氏名: 田中S子さん・42歳・ワーキングマザー(ITエンジニア)
  • シーン: 月1の海外チーム会議で発言したい、育休中の今に伸ばす
  • 現状: A2上位/目標: B1中位(6か月)
  • 強み: リーディング速度/弱み: 疑問文の即答、冠詞
  • 時間: 平日20分(通勤)+週末60分/週1レッスン50分
  • 動機: 『黙って聞くだけの会議』から脱却したい

50分レッスンの標準コマ割り構成

個別カスタマイズしつつ、レッスンの骨格は標準化します。骨格が決まっていると準備時間が短縮され、受講者も見通しを立てやすくなります。

ウォームアップの10バリエーション

冒頭5分のウォームアップは毎回違う活動を回すと飽きません。1)先週の出来事を3文で、2)今日のニュースから1つ英語で紹介、3)写真描写60秒、4)『もし〜なら』ifチャレンジ、5)定型句暗唱早口、6)昨日食べたものを詳細描写、7)3つの物の共通点探し、8)講師の質問に30秒連続回答、9)録音聞き直し自己採点、10)ジェスチャーで単語当て。ローテーションで回すとウォームアップ自体が口慣らしになります。

メインアクティビティ選定の判断軸

メイン25分のアクティビティは、その日の目標スキルによって選びます。文法導入ならPPP型(Presentation→Practice→Production)、コミュニケーション強化ならTBL型(Task-Based Learning)、表現拡張ならESA型(Engage→Study→Activate)が適します。判断軸は『今日は新しい形を教える日か/既習形を使いこなす日か』。新出ならPPP、運用強化ならTBLを選びます。

50分レッスン標準タイムテーブル
  • 0-5分: ウォームアップ(10種類から1つ)
  • 5-10分: 前週宿題チェック・質問受付
  • 10-35分: メインアクティビティ(PPP/TBL/ESAから選択)
  • 35-45分: 応用タスク(ロールプレイ・ディスカッション)
  • 45-50分: フィードバック・宿題提示・次回予告

進捗を可視化する管理フォーマット

受講者継続の最大の動機は『成長実感』です。ただし日々の変化は微小なので、記録と見返しの仕組みが必須になります。ポートフォリオは、受講者の発話を1か月に1回録音し、月ごとに並べて聞き比べる方式が最もインパクトがあります。『3か月前の自分』の音声を聞くと、本人も驚くほど成長を感じます。録音トピックは毎回同じ『自己紹介60秒』に固定すると比較しやすくなります。そのほか、語彙リスト(既知語の累積グラフ)、エラーログ(繰り返し出る誤りの記録)も併用します。月の最終レッスンの最後10分を振り返り時間にあて、『今月できるようになったこと3つ』『まだ難しいこと1つ』『来月の注文』を受講者に自分の言葉で語ってもらうと、形成的評価として機能し自己効力感が高まります。

受講者管理を仕組み化してレッスンに集中

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個人教室のカリキュラム実例3パターン

レッスンを楽しむ受講者
受講者属性ごとにカリキュラムの焦点は大きく変わる(出典: Pexels)

育児中の主婦向け『朝30分コース』

平日朝9:00〜9:30、子供を保育園に預けた後の30分で行うコース設計例です。ゴールは『ママ友(外国人)と公園で雑談できる』A2レベル。ユニットは『天気・体調・子供の発達・離乳食・保育園・週末の予定』など育児文脈の6テーマ。毎レッスン『今週子供が言った面白い言葉』を英語で紹介するルーティンを入れると、生活と英語が自然につながります。Before:公園で挨拶だけで逃げていた/After:30分おしゃべりして連絡先交換できた、という変化が実例として報告されています。

定年後シニア向け『旅行英語コース』

60代以上向け、週1×12か月の長期コース。ゴールは『夫婦で欧州3か国周遊』A2〜B1。ユニットはSiteごと(空港→ホテル→レストラン→美術館→駅→病院→買い物)の7テーマ。シニア層は短期記憶よりも文脈記憶が強いので、写真付きの実物教材(実際のホテルの予約画面、欧州の鉄道時刻表など)を大量に使うと定着します。AfterでBeforeには想像もしていなかった『駅でチケット窓口と英語でやり取りできた』という体験が得られます。

保護者向け『子供と英語で話す』コース

子供を英語で育てたい保護者向けの週1×6か月コース。ゴールは『朝の支度・食事・お風呂・就寝の4シーンを英語で回せる』A1+。育児英語の定型句(Wash your hands / Time to brush teeth / Say good nightなど)を各シーン30個、計120フレーズ暗唱できる状態をゴールにします。教材は保護者が実際に子供に使うフレーズを録音し、翌週レッスンで発音修正する往復型が効果的です。

個人教室がやりがちな設計ミス

最後に、個人教室でよく見られる設計ミスを4つ挙げます。1つ目は『市販テキストを1〜100ページ順番にやる』。テキストは教材のひとつであって、カリキュラムではありません。2つ目は『会話が弾んだ話題を翌週も続ける』。場当たり運営の典型で、6か月後に何が残るかが設計されていません。3つ目は『宿題を多く出しすぎる』。忙しい社会人受講者は宿題でパンクして辞めます。週合計60分以内が上限です。4つ目は『レベルチェックをしない』。3か月に1度、初回と同じ診断テストを行うだけで、数値の伸びが可視化されます。

要注意サイン
  • テキストの順番通りにやっており、受講者の目的との接続が説明できない
  • 3か月経っても同じレベル診断を再テストしていない
  • 宿題が週90分以上になっており、提出率が50%を切っている
  • 毎レッスンの焦点(今日学ぶ1つの形)を1文で言えない

よくある質問

A
大手並みを目指す必要はありません。むしろ『受講者一人ひとりの名前・目的・苦手』が入った手作りカリキュラムこそ個人教室の強みです。型を1つ決めて受講者ごとに曲げる運用が現実的です。
A
CEFR A1/A2/B1の3レベルで受け皿を分け、同じテーマでも難易度を3段階用意する方式が有効です。たとえば『自己紹介』でもA1は定型3文、B1は質問返しまで含めます。
A
初回の骨格作成に約10時間、以降は毎週30分の週次調整で運用できます。最初の10時間を投資できれば、以降の準備時間は激減します。
A
講師の得意ジャンルに受講者が偏りすぎると、苦手分野(例:発音矯正やビジネス英語)の受講者が満足できなくなります。自分の教えられる範囲をCEFR・シーンで明示しておくと良いです。
A
カリキュラムが『地図』、教材は『乗り物』です。地図(6か月ゴール)を先に描き、それに合う教材を選びます。教材ありきで地図を作ると、教材の制約に受講者を合わせることになります。
A
3か月に1度の見直し面談で公式に変更します。変更は悪いことではなく、学習が進んで本人の見えるゴールが広がった証拠です。面談で合意形成してから次の3か月計画に反映します。

契約初月90日のオンボーディング設計

カリキュラムは設計だけでなく『導入の90日』で定着するかどうかが決まります。初回レッスンから90日目までを『体験期(1〜30日)・定着期(31〜60日)・自律期(61〜90日)』の3フェーズに分け、フェーズごとに達成感の設計を意識します。体験期は『1レッスンで言えた表現を1つメモする』だけを必達ラインとし、受講者に無理をさせません。定着期は復習頻度を週2回10分に固定し、忘却曲線を意識した間隔反復を仕掛けます。自律期は受講者自身が『今月やりたいテーマ』を1つ持ち込めるようにします。90日目に最初の大きな振り返り面談を置き、ビフォーアフターを音声で聞き比べる儀式を作ると継続率が一段と安定します。

90日オンボーディングの達成指標
  • 30日時点: 毎週のレッスン参加+3分の事前準備が習慣化している
  • 60日時点: 自分の仕事/生活に関する単語リストが50語に到達
  • 90日時点: 初回録音と現在の録音を聞き比べて違いを言語化できる
  • 離脱シグナル: 連続2回キャンセル・宿題未提出・面談回避

レベル別『詰まり所』と処方箋

個人教室ではCEFR帯ごとに受講者が詰まるポイントが驚くほど似ています。A1では『名詞は言えるが動詞が出ない』症状が典型で、処方箋は動詞50個の単独暗唱と動詞+目的語の2語文練習です。A2では『過去形と現在形の切り替え』が壁になり、時制を示すマーカー語(yesterday/now/every day)を先に固めるアプローチが効きます。B1では『言い換え回避』で同じ表現ばかり出る停滞期に入るため、類義語を強制的に使わせるパラフレーズ練習を週1で差し込みます。B2では『長い発話の構造化』が課題で、PREP(Point-Reason-Example-Point)テンプレを手持ちカードとして渡すと解決が早まります。

停滞サインを見逃さないための月次チェック

月末の最終レッスンで、①新語獲得数、②発話の平均ターン長、③自己修正回数、の3指標を軽く測定します。獲得数が前月の6割を切り、ターン長も伸びず、自己修正も起きていない場合は『停滞期に入った』と判断し、翌月は教材難度を一段下げて自信を回復させるか、逆にテーマを刷新して新鮮さを取り戻すかをオーナー自身が決めます。

受講者タイプ別の声かけテンプレート

個人教室はオーナーの言葉遣い一つで継続率が揺れます。完璧主義タイプには『今日は6割言えれば大成功です』と上限を下げ、ムードメーカータイプには『その表現、次回も使ってください』と肯定を積みます。分析タイプには『なぜその言い方を選んだのか』を問う時間を作り、安心志向タイプには『前回やった型と同じ形です』と既習感を言語化します。タイプ判定は初回ヒアリングでの自由記述から読み取り、プロファイルに記録しておくとレッスン冒頭の1分で正しいスイッチを入れられます。

4タイプへの声かけ例
  • 完璧主義: 『今日は未完成で出してOK、来週磨きます』
  • ムードメーカー: 『今の言い方を録音しておきたい』
  • 分析タイプ: 『なぜ過去形ではなく現在完了を選んだのですか』
  • 安心志向: 『前回のUnit 3と同じ型ですね、使い回しましょう』

解約サインの早期検知と引き留め会話

解約は突然ではなく2〜3回のレッスンに予兆が出ます。事前課題の提出が止まる、発話量が半減する、雑談で不満を匂わせる、振替希望が急増する——この4サインが揃ったら、次回レッスン冒頭で『最近のペースはいかがですか』と率直に尋ねるのが最短の解決です。引き留めの会話は『値下げ』ではなく『コースの組み直し』で臨みます。頻度を週1→隔週に落としてでも関係を維持する方が、新規獲得より安価に復帰してもらえます。

保護者・家族を巻き込む情報共有フロー

個人教室の受講者は配偶者や親が学費を出しているケースが一定数あります。本人以外のステークホルダーに月1で短いレポートを共有する運用を入れると『何に時間とお金を使っているかわからない』という不安が消え、長期継続に繋がります。レポートは『今月のゴール・できるようになったこと3つ・次月の計画・必要な家庭の協力』を4ブロックで200字程度にまとめると読まれやすくなります。

教材ローテーションで飽きさせない半年サイクル

同じ教材を半年以上使い続けると、受講者の新鮮さが薄れます。半年ごとに教材の1/3を入れ替えるローテーション運用を基本とします。具体的には『軸教材(市販テキスト)』『副教材(講師自作プリント)』『実素材(ニュース・ドラマ・メール)』の3本柱のうち、副教材か実素材を毎半年で刷新します。軸教材は1年単位で固定し、体系性を守りながらも変化を演出できる構成です。教材入れ替えは『3か月目の面談』で予告し、『次クールはこういう素材にします』と伝えると受講者の期待値を上げられます。

複数受講者の共通教材を作る効率化

受講者ごとに完全オーダーメイドすると準備時間が無限に膨らみます。個別性を守りつつ効率を上げるには『共通教材シート+個別カスタム欄』の二段構え設計が有効です。全受講者共通のトピック(例: 過去形)の基礎シートを1枚作り、各受講者のプロファイルに合わせて例文だけ差し替える運用です。この方式なら準備時間が半減しつつ、受講者には『自分のための教材』と感じてもらえます。5人以上の受講者を抱える個人教室ほど効果が大きい運用です。

カリキュラムの『余白』を意図的に残す

6か月カリキュラムを100%埋め込むと、突発的な需要(受講者が急に海外出張を控えた、家族と海外移住が決まった等)に対応できません。24レッスンのうち2〜4レッスンは『未設定枠』として余白を残します。この枠は受講者のタイムリーな要望を吸収する緩衝材として機能し、カリキュラムの柔軟性を保証します。余白があることで『受講者の声を聞けるスクール』という印象が強まり、長期継続に寄与します。

A
基本設計は同じですが、オンラインは対面より集中が切れやすいため、レッスンを40〜45分に短縮し、画面共有・ブレイクアウト・チャット活用など技術要素を加えます。プロファイル管理はクラウド共有にする方が効率的です。
A
『英語で何をしたいか』ではなく『どんな生活になりたいか』から聞きます。『海外ドラマを字幕なしで見たい』『外国人の友人を作りたい』など、生活イメージから目標を逆算する対話が効きます。
A
Yes。文書化すると講師自身の思考が整理され、受講者への説明も明確になります。A4 1枚のカリキュラム概要シートを必ず作り、初回面談で受講者と一緒に確認するのが理想です。
カリキュラム運用で押さえるべき5原則
  • 6か月ゴールから逆算して設計する
  • 受講者ごとにプロファイルを作る
  • 1レッスン1スキルで焦点を絞る
  • 3か月に1度は見直し面談を行う
  • 文書化して思考を整理する

受講者データから学ぶPDCAの回し方

個人教室で継続的に品質を上げるには、受講者データを蓄積して分析するPDCAが不可欠です。毎レッスンの到達度スコア、宿題提出率、欠席率、満足度を簡易記録し、四半期に一度まとめて眺めます。傾向が見えるのは受講者5名×3か月のデータが溜まった時点で、ここから『このユニットは全員が詰まる』『この時期から提出率が落ちる』といった改善の種が見つかります。改善は毎四半期1〜2項目に絞り、変更前後の数字を比較することで効いた施策を特定します。データは手作業で十分で、完璧なシステム化より習慣化が先決です。

長期休止後の復帰カリキュラム設計

育休・海外赴任・病気などで半年以上休止した受講者が復帰する際は、ゼロからではなく『休止前の8割位置からの再スタート』が妥当です。復帰初回は面談でブランク中の英語接触状況(映画・会議・読書)を聞き取り、筋力がどこまで残っているかを推定します。多くの場合、聴解力は維持されるが発話力が落ちているため、復帰1か月は発話再活性化を重点に据え、新規文法項目は追加しません。復帰者は『また続けられるか』に不安を持っているため、小さな成功体験を初月に3〜5回用意する設計が離脱を防ぎます。

カリキュラム設計者としての講師の成長ステップ

個人教室のオーナー講師は『指導者』と『設計者』の二役を担います。指導は現場経験で磨けますが、設計は意識的な学習が必要です。初年度は市販教材のシラバスを参考にカリキュラムを組み、2〜3年目は独自のユニット配列に挑戦し、4年目以降は受講者ごとのテーラーメイドを量産できるようになる、という3段階の成長軸が現実的です。学会(JACET・JALT)の年次大会や教員向けオンラインコース(CELTA・DELTA)を通じて知見を更新する時間を年30時間は確保すると、設計力の陳腐化を防げます。

カリキュラム共有で教室価値を可視化する

体験レッスン希望者や検討中の保護者に『6か月カリキュラム概要シート』を配布する運用は、入会決定率を顕著に高めます。シートはA4 1枚に『月次ゴール・使用教材・想定到達度・料金』を1行ずつまとめるだけで十分です。他スクールでは見せない情報を開示することで信頼が生まれ、『この教室は考えて設計している』という評価に繋がります。個人教室の最大の差別化ポイントは『設計の透明性』であり、隠す理由はありません。

カリキュラム設計は一度作って終わりではなく、受講者と共に育てる『生きたドキュメント』です。半年ごとの大改訂、四半期ごとの小改訂、月次の微調整という3階層の更新サイクルを回すと、カリキュラムの陳腐化を防げます。受講者が卒業・退会するたびに『このカリキュラムのどこが合っていたか/合わなかったか』を1枚レビューとして記録し、次の受講者に活かします。この記録が10件20件と溜まった時、個人教室の設計力は他では真似できないレベルに到達します。

個人教室の競争優位は『スピード』にあります。大手の方針変更は数ヶ月かかりますが、個人教室は翌週から運用を変えられます。受講者から要望があれば1週間以内にカリキュラムに反映し、効かなければまた翌週に修正する——この高速PDCAこそ個人教室の生命線です。完璧な設計を目指すより、60点の設計を毎週磨く運用が実戦的に勝ちます。走りながら考え、考えながら走る姿勢を貫くことが、長期的な設計力の源泉になります。

A
本記事で紹介した原則のうち、最も自分のスクールで不足していると感じた項目を1つ選び、今週1つだけ試すことです。完璧を目指さず、小さく始めて継続することが、変化を現実にする最短ルートです。1週間後に効果を確認し、2週目で改良を加え、3週目で定着させる——この3週間サイクルで1項目ずつ改善していけば、半年後にはスクール運営の体質が確実に変わっています。

まとめ

個人英会話教室のカリキュラム設計は、大手と違う土俵で戦うための最大の武器です。6か月ゴールからの逆算、12項目ヒアリングに基づく個別プロファイル、50分標準コマ割り、ポートフォリオによる進捗可視化、月次振り返り面談——この5つを回すだけで、受講者の継続率と満足度は大きく変わります。完璧を目指さず、まずは1人の受講者に対して骨格を作り、走りながら磨いていきましょう。

個別カリキュラム運用の面倒を減らす

Lestiqは受講者ごとの目標・進捗・宿題・ノートを一画面で管理。個人教室オーナーが『教える』ことに集中できる環境を提供します。

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