英会話教室を運営していて、「うちの継続率は高いのか低いのか」と気になったことはありませんか。継続率は教室経営の最重要KPIですが、業界全体の目安データは意外と公開されていません。この記事では、英会話教室の継続率の業界平均と、教室規模・業態別の目安、自校を評価する方法を解説します。
「平均を知る」は「改善余地を知る」ことです。目標値が決まれば、打つべき施策が見えてきます。
- 継続率の定義と計算方法
- 英会話教室の継続率業界平均
- 業態別・規模別の継続率目安
- 自校の継続率を評価する方法
- 継続率改善の優先順位

継続率とは何を指すのか
継続率の定義
月次継続率 = 月末時点の会員数 ÷ 月初時点の会員数(新規入会除く)。退会者ベースで測るのが一般的です。
計算方法
月初会員数100名、月中退会者5名、月末会員数95名の場合 月次継続率 = 95 ÷ 100 = 95% 月次退会率 = 5 ÷ 100 = 5% 年次継続率 = 0.95の12乗 ≒ 54%
業界平均データ
月次継続率の平均
業界全体の月次継続率平均は93-97%。良好な教室は97%以上、課題のある教室は90%以下です。
年次継続率の平均
年次換算では40-70%。業態により幅が大きく、子供向けは60-70%、大人マンツーマンは50-60%が目安。
業態別の継続率
子供英会話
月次95-97%・年次60-70%。習い事定番で継続しやすい一方、受験・他習い事との競合で退会も発生。
大人マンツーマン
月次92-95%・年次50-60%。仕事の繁忙・目標達成・料金負担で退会が発生しやすい業態。
オンライン英会話
月次85-92%・年次30-50%。手軽さゆえに離脱も早い。定着施策が重要。
法人研修
月次98%以上・年次80%以上。契約単位が年間なので、途中退会は稀です。

自校の継続率を評価する
相対評価の考え方
業界平均と比べるだけでなく、過去の自校データとの比較が重要。去年より上がっていれば改善方向に進んでいます。
コホート分析
入会月ごとにグループ(コホート)分けし、各グループの継続率を追跡。どの時期の入会者が残りやすいかが見えます。
継続率改善の優先順位
改善の3ステップ
- STEP1: 退会理由を毎月集計する
- STEP2: トップ3の退会理由に対策を打つ
- STEP3: 効果測定と継続改善
継続率は「結果指標」。結果を変えるには、日々のレッスン・コミュニケーションの質を上げるしかありません。
継続率を上げる具体的な施策ロードマップ
継続率の数字を把握したら、次は改善アクションです。ここでは継続率を1年で3-5%改善するロードマップを提示します。1ヶ月目は現状把握フェーズ。退会理由の分析、コホート分析、コーチ別継続率分析を実施し、改善ポイントを特定します。2-3ヶ月目は即効性のある施策(リマインド強化、コーチ変更提案、定期面談導入)を実行します。
4-6ヶ月目は中長期施策の開始です。カリキュラム改訂、ゲーミフィケーション導入、コミュニティイベント開始など、受講者体験を根本から変える施策に取り組みます。7-12ヶ月目は定着フェーズで、新施策を日常運用に落とし込み、全スタッフで品質を維持します。この1年サイクルを回すことで、継続率は着実に向上します。
継続率KPIのダッシュボード化
継続率改善には毎日の可視化が効きます。ダッシュボードで日次・週次・月次の継続率を全スタッフが見られる状態にすることで、組織全体の意識が高まります。「今月の継続率は97.2%、目標は97.5%、あと0.3%」という具体性と緊迫感が、日々の行動を変えます。ダッシュボードはSaaSツールで簡単に構築できます。
業界ベンチマークの超え方
業界平均を超えるには、平均的でないサービスを提供するしかありません。平均的な教室と同じことをやっていては、平均的な継続率しか得られません。他校がやっていない施策(定期面談、コミュニティ運営、学習アプリ、個別カリキュラム等)を1つ追加することで、差別化が生まれます。差別化要素を3つ以上持つ教室は、業界トップクラスの継続率を実現しています。
- 3ヶ月毎の個別面談
- スキル可視化レーダーチャート
- 受講者コミュニティ運営
- オリジナル学習アプリ
- 個別カリキュラム提供
- コーチ指名制度
- 成果保証制度
これらから自校の強みになるものを3つ選び、徹底的に磨き込むことで、継続率は業界トップレベルに到達します。
よくある質問
継続率分析の将来展望と次のアクション
継続率分析は英会話教室運営の中核テーマであり、時代とともに進化し続けます。特にAI・オンライン・データ活用の三位一体の流れが加速する中、従来の運営手法だけでは差別化が難しくなっています。ここでは、近い将来に主流化するアプローチと、今すぐ着手すべきアクションを整理します。まず、テクノロジーの活用は不可欠になります。AI分析による受講者行動予測、オンラインとオフラインのハイブリッド運営、自動化ツールによる業務効率化、これらを導入しない教室は3-5年後に競争力を失うリスクが高まります。
次に、受講者との長期関係構築の重要性がさらに高まります。これまで新規獲得に注力してきた教室も、既存受講者の生涯価値(LTV)最大化にシフトする必要があります。1人の受講者に3年・5年と通ってもらえる関係を築けば、広告費を大幅に削減しつつ安定した収益基盤を作れます。口コミ・紹介による新規獲得も増え、好循環が生まれます。業界全体で顧客中心主義が強化されており、この流れに乗れるかが教室の明暗を分けます。
データドリブン経営への完全移行
現代の英会話教室経営は、勘と経験だけでは通用しません。予約数、稼働率、継続率、NPS、コーチ別評価、時間帯別人気度、地域別集客効果、これらのデータをリアルタイムで把握し、月次・週次・日次でPDCAを回す必要があります。データを取らない教室は、何が良くて何が悪いかが見えず、改善行動が感覚的になります。逆にデータ駆動の教室は、小さな改善を積み上げて大きな成果を出せます。具体的には、予約管理SaaSを導入してKPIダッシュボードを構築し、全スタッフが同じ数字を見て意思決定する文化を作ることが出発点です。
データ分析は「分析のための分析」になりがちですが、重要なのは行動変容です。データを見た結果、何を変えるのか、誰が実行するのか、いつまでに成果を出すのか、を明確にしなければデータ活用の意味がありません。月次会議で「データ→課題→施策→責任者→期限」を一気通貫で決定する運用を定着させることで、データが経営の推進力になります。分析ツールだけ買って終わる教室は多いですが、それではROIが出ません。
スタッフ教育と文化醸成
継続率分析の改善は、スタッフ全員の巻き込みなしには実現しません。施策を決めるのは経営層ですが、実行するのは現場のコーチ・スタッフです。彼らが「なぜこれをやるのか」を理解し、腹落ちしなければ、施策は形骸化します。定期的な勉強会・研修・事例共有を通じて、組織全体の理解度を底上げすることが、施策成功の鍵です。特に新人教育と中堅のリスキリングの両輪を回すことで、組織力が継続的に強化されます。
文化醸成には時間がかかりますが、一度根付いた文化は強固な競争優位になります。「受講者を大切にする文化」「データに基づく意思決定の文化」「継続的改善の文化」、これらが組織の遺伝子になれば、スタッフが入れ替わっても品質が維持されます。文化醸成のためには、経営層自らが率先してその価値観を体現することが最も効果的です。言葉だけでなく行動で示すリーダーシップが、組織を変えます。
- 現状の数値を正確に把握する
- 月次KPIダッシュボードを作る
- 改善の優先順位を3つに絞る
- 小さく実行し、効果を測定
- スタッフ全員で振り返り改善
- 3-6ヶ月単位で効果検証
- 成功パターンを標準化
- 組織文化として定着させる
これらのステップを=継続率分析に特化して==実行することで、他校との差別化が進み、選ばれ続ける教室になります。改善は終わりのないマラソンですが、一歩ずつ着実に進めれば必ず成果は出ます。

他教室事例から学ぶベストプラクティス
継続率分析の改善は、一から考えるより他教室の成功事例から学ぶ方が早道です。業界団体のセミナー、経営者交流会、書籍・ウェブ記事、SNS情報発信など、事例を収集する方法は多くあります。ただし、他教室の事例をそのままコピーするのは危険です。自校の規模・立地・ターゲット層に合うか検証した上で、カスタマイズして導入することが重要です。成功事例の本質は「何をやったか」ではなく「なぜうまくいったか」にあります。この本質を見極めることが、真の学びに繋がります。
他教室との比較分析も有効です。自校と似た規模・業態の教室の公開情報(料金・カリキュラム・運営スタイル)を調査し、自校の立ち位置を客観視します。その上で、自校の強みを活かせる独自ポジションを設計することで、=価格競争に巻き込まれない==差別化戦略が立てられます。競合分析は年1-2回定期的に実施することで、市場の変化に対応し続けられます。
また、小規模教室ならではの機動力も大きな武器になります。大手スクールは意思決定に時間がかかり、新しい施策の導入にも社内稟議が必要です。一方、個人教室や小規模教室は、経営者が「やろう」と決めれば翌日から実行できます。このスピード感を活かして、新しい施策を次々と試し、効果があったものだけを残していく実験的運営が有効です。失敗を恐れずに試し、学び、改善する姿勢が、長期的な成長を支えます。
さらに重要なのは、受講者コミュニティの力を活用することです。既存受講者からのフィードバック、要望、アイデアは、教室改善の宝の山です。定期的なアンケート、個別ヒアリング、フォーカスグループインタビューなどを通じて、受講者の声を経営に反映させる仕組みを作りましょう。受講者は単なる顧客ではなく、教室を一緒に育てるパートナーとして捉えることで、ロイヤルティが飛躍的に高まります。「自分の声で教室が良くなった」という実感は、強力な継続動機になります。
長期的な視点も欠かせません。目先の売上・集客に追われると、本質的な品質向上や組織づくりが後回しになりがちです。3年後・5年後にどんな教室でありたいかというビジョンを明確にし、そこから逆算した中期計画を持つことが、ブレない経営の基盤になります。ビジョンドリブン経営ができる教室は、流行に左右されず独自の価値を築けます。スタッフ・受講者・地域社会から愛される教室になるには、時間をかけてじっくり育てる覚悟が必要です。
最後に、経営者自身の学びを止めないことが最も重要です。英会話教室経営は、教育・マーケティング・人事・財務・ITなど、多分野のスキルが求められる総合格闘技です。書籍・セミナー・他業種との交流・経営者コミュニティへの参加などを通じて、常に新しい知識とインスピレーションを得続けることで、教室の成長が持続します。経営者が学び続ける教室だけが、変化の激しい時代を生き残り、発展していけます。
まとめ
英会話教室の継続率業界平均は月次93-97%。業態・規模ごとに目安は違うものの、自校のデータを定期的に測定し、業界平均と比較することで改善方向が見えます。継続率95%以上を最初の目標に、コホート分析と退会理由分析から始めてください。
ケーススタディ: 業界平均を超えた教室の共通点
MM業界の定着率平均は60-70%ですが、85%以上を達成する教室を分析すると共通点がありました。①月次進捗フィードバックを徹底 ②個別目標設定を初月に実施 ③受講者コミュニティがある ④コーチの定着率が高い(受講者との関係が長期化)。この4つが揃うと、業界平均を10ポイント以上超える教室になります。
失敗例と改善例: 定着率低迷を脱した教室
NN校は定着率が55%と業界平均以下でしたが、「入会後90日プログラム」を新設。初月オンボーディング面談・2ヶ月目進捗レビュー・3ヶ月目目標再設定を標準化したところ、半年で定着率72%まで改善。定着率改善は最初の90日が勝負です。
定着率を業界トップレベルに押し上げるには「データドリブン経営」が不可欠です。定着率・継続率・満足度を毎月測定し、異常値を即座に検知する仕組みが必要。スプレッドシートでの手動集計ではなく、予約管理SaaSのダッシュボードでリアルタイム可視化することで、打ち手のスピードが劇的に上がります。数字と向き合う覚悟が、定着率改善の出発点です。
定着率の「業界平均と自校の差」を理解することが改善の出発点です。業界平均60-70%という数字は知っていても、それが自校にとって何を意味するかを考える教室は意外と少ないのが実情。業界平均より10ポイント下なら「緊急改善」、業界平均なら「差別化不足」、業界平均より10ポイント上なら「強みの深掘り」、という風に、自校ポジションに応じた戦略が必要です。定着率の数字は「経営の健康診断指標」として毎月トラッキングすべき最重要KPIです。
定着率向上の「組織文化への落とし込み」が最も重要です。施策だけ打っても、スタッフ全員が「受講者を定着させる」意識を持たなければ効果は出ません。「毎日の挨拶」「名前を覚える」「成長を祝う」「悩みに寄り添う」といった小さな行動が定着率を支えています。月1回の「定着率振り返りミーティング」を実施し、成功事例と失敗事例を全員で共有することで、定着を生み出す文化が育ちます。施策<仕組み<文化の順で、改善の定着度と持続性が上がります。
定着率向上の「失敗パターンと成功パターン」を組織で共有することが重要です。失敗パターン:「施策の単発実行」「効果測定なし」「スタッフ教育不足」。成功パターン:「施策の継続実行」「月次効果測定」「全スタッフ教育」。この違いを実例ベースで組織学習することで、次の施策の成功確率が上がります。毎月の定着率振り返り会議で、成功事例3件・失敗事例3件を共有する文化を作ると、組織全体の学習スピードが加速します。個人の経験を組織の知恵に変換することが、継続的な定着率向上の本質です。
定着率の「同業他社ベンチマーク」も活用すべきです。業界団体のレポート・経営者交流会・書籍等で他校の定着率を情報収集し、自校の位置づけを客観視することで、競争力が見えてきます。上位教室の成功パターンを研究し、自校に適合する形でカスタマイズして導入することで、ベンチマーク学習の効果が出ます。他校比較なしでは内向きの改善に陥り、競合との差が開く一方です。
定着率は「教室文化のバロメーター」です。施策の積み重ねだけでなく、「受講者を大切にする文化」が自然に根付いた教室の定着率は抜きん出ます。スタッフ全員が毎日の挨拶・気配り・名前呼びを大切にする人間的な温かさが、数字に表れます。文化醸成には時間がかかりますが、一度根付けば強固な競争優位になります。
定着率向上の「経営者の関与度」が決定的に重要です。経営者自らが毎月の定着率数字に向き合い、現場と課題を共有し、改善策を共に考える姿勢が、組織全体の本気度を高めます。経営者が数字から逃げる組織は、現場も逃げます。定着率は経営者の鏡です。